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俺は4時15分。

バッキー・イノウエとワイワイナワイモ。

「おっ、永ちゃんや」とつぶやけるシアワセ。

 こないだ大西ユカリがパーソナリティーをしているFMの番組の中で矢沢永吉のインタビューをしていた。普段はFMではなくAMを聞くことが多いがあらかじめそれを知っていたのでスピーカーに向かって正座するかのようにジッと聞いた。
 大西ユカリはもちろん永ちゃんがずっと好きだったと思うしその憧れの永ちゃんを前にして彼女がどんな仕事をするのか興味深かった。
 インタビューが始まった、今日のゲストは矢沢永吉さんですと大西ユカリがうれしそうに紹介すると2秒間があって「こんにちは矢沢永吉です」とまさに永ちゃんの声がして俺もうれしくなった。そして彼女緊張してちゃんとしゃべれるんかいなと思いながら聞いていると、いつもの大西ユカリ節の調子で永ちゃんにインタビューしていて思わずさすがやなあと唸った。時々、永ちゃんに突っ込みを入れたりチョットボール気味の球を投げたりして聞いていて何度もひやひやしたり苦笑いをした。それでもさすがに永ちゃんはラジオの向こうでもメチャクチャ格好よかったし、新しく録音し直したという「セクシーキャット」にもしびれた。
 俺達の世代にとって矢沢永吉は特別な存在だと思う。まわりを見渡せば同じ世代の奴でも矢沢永吉とは関係ない奴もたくさんいるし、俺でも様々な音楽やカッコよさと出会い矢沢永吉を忘れていた時もあったし新しいアルバムにもライブにも興味がなかった時もあった。それでも矢沢永吉はいつも特別な存在だった。
 例えば永ちゃんがテレビのコマーシャルに出ていたら必ず「おっ、永ちゃんや」と声に出す出さないかかわらずつぶやいてしまう。そのコマーシャルがどうあれジッと見てしまう。車に乗っていて永ちゃんの歌が聞こえてきても思わず「おっ、永ちゃんや」とつぶやいてしまう。いくら好きでもジョンレノンや宇崎竜童やボブマーリーではそうならない。
 昔ヤンキーやったとかリーゼントしていた系とかでもないと思う。基本的に俺はいわゆるヤンキーではなかったしリーゼントをしていた時もあったがそれはキャロル系のリーゼントでもアメグラ的とかグリース的なリーゼントでもなく傷だらけの天使に憧れて長い目の毛をポマードでベトベトにしていただけのものだった。
 70年代後半から80年代前半は新しい音楽やムーブメントが流行ったり入ってきたりしていてディスコやらソウルやらR&Bやらウェストコーストやらで忙しかったし、荒井由美やサザンやカーコンポ的なフュージョンやレゲエ、夜はタテのりのスカやニューウェイブが先行したりもしていた時でも、永ちゃんのアルバムが新しく出れば必ずその発売日に買っていた。そして急いで家に帰ってステレオで聞いたし歌詞を読んだ。
 また世代が違えど永ちゃん好きは多い。裏寺の百練で矢沢永吉祭をすると三十代四十代の真っ当な男が多く来るし、大西ユカリも俺よりずっと若い。このコラムに出てくる戦後人生という男も木屋町のハゲ軍曹も悲しきサラリーマンもラッキーという男もそれぞれ世代は違うがみんな永ちゃんとともに生きている、そんな気がする。
 去年も永ちゃんのコンサートに行くことが出来た。一緒に行った仲間と帰りに会場の近くで飲めばほぼお客さんの全員が永ちゃんの話をしていた。若い奴もいたしシワが深い男や女もいた。
 矢沢永吉のことを永ちゃんと呼んでしまう俺はシアワセだと思う。「きつい旅だぜ、おまえにわかるかい」と、永ちゃんは必ずこの曲をライブで歌っている。