俺はウーカンカンとココロの救急車のサイレンが鳴りそうなほど
うれしかったが、ただニコニコしているだけで走り回るのはやめた。
まかないをいただけるというのは仲間扱いしてもらっていることだと
俺はいつも勝手に思っている。
しかもまかないは選べない。残さずにきれいにおいしくは当然だ。
ここで俺はスパイのライセンスをチラッと見せるのだ。
なぜそうするかはここでは言えない。
夕方は川端丸太町の出版社に行った。
出迎えてくれたその出版社の主宰者が
「バッキーさん、ここのオフィスの構造はスパイ度高いでしょう」と、自慢した。
俺は彼らがスパイ度ということを8割しか理解出来ていないなと思ったが
ただの近所のおっさんボタンを押して、そのようにしていた。
そしてその近所、ロックンロールな塗料店と蚊に刺される赤垣屋をのぞいた。
なんと、お客さんから赤垣屋にかかってくる電話は
店の階段の踊り場にある10円入れてかけるピンク電話だった。
スパイがよろこぶ店だと思う。
だが俺も来年はスパイのライセンスを更新出来ないかもしれない。
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