俺は4時15分。

バッキー・イノウエとワイワイナワイモ。

ウナ弁さげて京阪に乗るシアワセ。

昨日、午後6時ごろに京阪電車に乗って
ひとりで暮らしている叔父にのとよさんの鰻弁当をぶら下げて行った。

ピンポン鳴らしても出てこないので電話をしたらようやく玄関の鍵を開けてくれた。
「お、なんや、このへんに来たんか」
「好きなうな弁持ってきたんやんか、もう寝てたんかいな」
「あほか、寝てるか、まあ入れ」
「なんか飲むもんあるんかいな」
というやりとりのあと、俺はお膳に座って部屋を見まわした。
お互い全部わかってる。月に一回くらいこうして鰻弁当を持ってきてるからだ。
叔父も多少ぼけているが照れているのだ。

そして俺は台所に行って酒の有無と冷蔵庫の中のものを見る。
「酒あんまりあらへんし津乃嘉でこうてくるわ、なんかいるか」
「いらん」
それで俺は向いの酒屋に行って、叔父の好きな立山と鯖の水煮の缶詰を買って戻る。
それから二人で飲む。昨日は阪神戦の野球中継があった。
叔父は10分くらいの間隔でいくつかの同じセリフを俺になげてくる。
「おー、錦のあの人どうしてはる。」
「あの人てだれやな、西の魚屋はんかいな」
「おー、そや」
そんな前と同じやりとりをしながら一時間ほど二人でぼんやりして飲む。
急き立てて話すこともないいい時間だ。
そしていつも俺は急に立ち上がって「ほないくわ」といって帰る。
家を出て、本町通を京阪の駅に向かって歩いているといつも泣けてくる。
京阪の準急、これがまたいいのだ。そして俺は四条に向かう。
今日は寒いぜ。