俺は4時15分。

バッキー・イノウエとワイワイナワイモ。

祇園祭の神輿は夕方から始まるのだ。

今月発売されているダンチュウのコラムに祇園祭のことを書かせてもらった。

〆切が祭の始まる前なのでカメラマンの打田さんと相談して

去年の神幸祭を撮ってもらった。

四条花見小路を下がっていく初日の一番艶っぽい担ぎ場の写真。

さすがにええ写真だ。打田さんも一緒に長く神輿を担いでいるので

たまらない瞬間がやさしい眼差しで切り取られている。

そして俺はこんなことを書かせてもらった。


祗園祭の神輿は、夕方から始まるのだ。

 京都では六月末にあちらこちらの神社で夏越の祓が行われ、七月一日からは祗園祭。一ヶ月間の長丁場。錦市場も神輿のひとつを担わせてもらっていて祗園祭のど真ん中にいる。
 京都には多くの神社があり神輿渡御が行われるところも多い。その中でも祗園祭はさすがに独特でなんとも魅力的だ。
 三十万人近い人出となる宵山のあと、7月17日朝から山鉾巡行が始まり京都の中心部は祗園祭一色となる。そして夕方からいよいよ神輿が氏子の暮らす町へ渡御される。
 八坂神社の三基の神輿が石段下に揃うのは6時頃。そう、祗園祭の神輿渡御は夜なのである。しかも錦の神輿は祗園や河原町、三条や四条を担いでまわる。何トンもある神輿を「ホイトホイト」という掛け声とともに神輿を上下にあおり、しならせ、時には差し上げながら古い街並みや賑やかで艶っぽい街を600人以上の担ぎ手で威勢よくまわる。
 うちの店から参加させてもらっているのは約三十人、毎年変わらぬ顔ぶれが集まり毎年同じようにサラシを巻きあって半被を着ることだけでシアワセ度の針は振り切れそうになる。そこに祭があり、神輿があり、決まり事があり、少しだけ酒もスルメも華もある。それだけで一年は持つ。
 八坂神社から一力茶屋の前を通って花街を担いで進む。道中には冷たい水やビールを担ぎ手に振る舞ってくれる料理屋さんやお店がたくさんあり、スペシャルなこの日にごはん食べをされている人達も出迎えてくれる。街の祭そのものだ。
 必死で担いでいれば、人に見られているとか上手下手とかそんなことは完全に消え去って、顔馴染みの担ぎ手と正味燃え尽きることができる。そして去年と同じように祭を迎えることが出来る。それはほんとに有り難いというしかない。
ダンチュウ2014年8月号