俺は4時15分。

バッキー・イノウエとワイワイナワイモ。

大人という字はダサい。

 古い仲間達と飲んでいた時に「そやけどライブもやっている店はええなあ」と俺が言うと、何人かの奴が意外なこというなあという顔をして俺を見た。
 ライブハウスに行っていた俺は、いつの頃からかライブもある店に行くようになっていた。上等の酒やそこそこの料理もあってクロークもあるようなところに行っていたら冒頭の「ライブもある店っていいよな」になったのだ。
 いつから俺はそんな大人になったのだ。「大人という字は大きい人と書くのねー」と日吉ミミいや違うアン真理子が歌いそうだ。日吉ミミは「恋人にふられたの」だった。
 ライブを店の料理や内装やサービスと同じように思うタイプの奴ではなかった俺もいつのまにかロックが錆びた。だからライブのことを店のおまけみたいな言い方になったのか。
 ライブハウスに行けばいつも何かが起こった。店を出るとライブ以外のことは何も覚えてないことが多かった。ライブのさなかに気づくことも多く、忘れるのでメモをしたいが、それを許してもらえないのがライブハウスだ。それでもメモを取ることが出来るのはそこと違う世界の奴なんだろうか。
 十月に京都の拾得で『ウエストポーチ』というライブがあった。大西ユカリも出るのでチョット行くと40代50代で満タン。酒のピッチも極めて早い。そんな中でキレキレのR&B、熱くソウルフルなバンドと歌が、高いレベルで炸裂。もう拾得は枯れたホットドーム。ゴキゲンが満開の最高の夜だった。
 こんなことが世の中のどこかで毎晩あるはずなのに俺はいったい何をしていたんだ。それをもっと伝えなくていいのか。便利で快適なところばかり行っていたらそこにはたどり着けなくなってしまうと思う。大人という字はダサい。そう思う。